2017年3月29日水曜日

【あぐだよりVol.48 持続可能な町づくりを学ぶため徳島県上勝町に行ってまいりました】

【あぐだよりVol.48 持続可能な町づくりを学ぶため徳島県上勝町に行ってまいりました】

和泊町での活動に生かすため
・ゼロウェイスト宣言に基づいた持続可能な町づくり
・高齢者が活躍する葉っぱビジネス
などで全国から注目されている徳島県上勝町へ学びに行って参りました。


思った以上に山深いがきれいな川もある美しい里山
徳島県上勝町ってどんなところ?

四国で一番小さく、最も高齢化率が高い町!

人口のピークは昭和256,356人でしたが
現在の人口:1,616人 805世帯 高齢化率:約52(平成2811日現在)
86%が山林。5つの大字の中に11の名、55の組がある。
主要産業は、以前は林業、みかん類の栽培等でしたが現在は日本料理などの飾りに使う「つまもの」を出荷するいろどり事業、柚子やゆこうなどの柑橘類の栽培が盛んです。
 
上勝町役場 企画環境課で伺ったお話

―持続可能な地域社会作づくりのために進めている取組み

全国初ゼロ・ウェイスト宣言をした町

ゼロ・ウェイスト宣言とは!?
「未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言をします。」という平成15年に議会で可決された宣言。その後、上勝町は、持続可能な地域作りを町全体で進めています。

上勝町は、もともと家庭から出たゴミを野焼きしていましたが、法律等が代わり小型焼却炉を作るもダイオキシンの問題などで使用ができなくなりました。焼却炉の立て替えには、かなりの費用がかかるため財政的に難しいことを契機に、抜本的な町のゴミ問題に着手、分別やリサイクルの取組みを始めました。

ゴミステーションはここ1ヶ所
現在、上勝町では、ゴミ収集車は1台も走っていません。住民は「日比ヶ谷ゴミステーション」に家庭からのゴミを持参し、そこで分別を行っています。平成9年に9分別からスタートしましたが、現在は、13種類、45分別を行っています。

分別のやり方などイラストなどを使いわかりやすく表示

 日比ヶ谷ゴミステーションに集められたゴミは、それぞれ業者が引き取りにきます。
生ゴミは、電動生ゴミ処理機などを普及させ家庭で堆肥化しています。なんと生ゴミ処理機の普及率は600世帯のうち約500世帯とのこと。汚れているゴミは、洗って出すことを徹底しているので、ゴミステーションは嫌な匂いがしませんでした。これらの取組みで、リサイクルできるゴミ売却での売り上げが年間約250万円あるそうです。
その売り上げは、リサイクルできない他のゴミの処理やゴミステーションの運営などに当てられているようですが、より住民に見えるかたちで還元できるシステムが作れないかを考えているとのことでした。

右上の数字がいくらの価値があるのか表示

分別する場所はわかりやすく絵などが書いてあり、またこのゴミにはどの様な値段で取引されるのかも記されています。例えば缶は1個につき+〇〇円。逆にプラスチックは-〇〇円など表示があります。住民が分別することで、どれぐらいの利益があるのか見える化されているのです。また、雑誌ポイントキャンペーンというのがあり、分別を楽しくする工夫がされています
 
くるくるショップの様子


日比ヶ谷ゴミステーションには、「くるくるショップ」という場が併設されていて、住民がまだ使えるけどいらなくなったものを持ち込み置いていくことができます。またそれらが欲しい方は自由に持ち帰ることができる無料のリユースショップになっています。年間約13トンの持込があって、約11トンが持ち帰られているようです。
くるくる工房で作られた手芸品

 また、ゴミステーションの運営などを行っている
NPOゼロ・ウェイストアカデミーさんにもお話を伺いましたが、事務所の横には「くるくる工房」があり、古い着物や鯉のぼりの生地などを雑貨や服にリメイクして販売しています。ここは、手先を使って物づくりをするので、高齢者の介護予防施設となっています。

聞いてみました!

協力隊(吉成)
Q 正直言ってここまでの分別をするのは、非常に面倒ですし、住民の生活に浸透させるのは、大変だったんじゃないですか?


上勝町役場担当者さん
A かなり地道な道のりでした。最初は役場職員も毎日ゴミステーションに行き、分別をひとつひとつ指導していきました。緊急雇用事業なども活用し、分別の説明指導や不法投棄のパトロールなどを行いました。また、これらの取組みが町の政策の主軸となるきっかけになったのが2003年に宣言した「ゼロ・ウェイスト宣言」でした。それから、町として2020年までに焼却・埋立ゴミを0にできるように取組みをすすめています。

―集落主体の活動

住民自ら考え実行していくことを念頭に「頭脳と体力によるまちづくり運動」
「1Q運動会」という活動を推進しているとのことです。これは、和泊町の「あざ・まち元気活動」に非常に似ている活動のようです。
Q運動会では、その地区が自ら出したアイデアや活動プランを「地域再生プラン」として町に提出してもらい、それが審査され、補助金を出す仕組みづくりを行っています。
 最初は、大字(和泊町でいうと校区のようなもの)の単位で行っていたそうですが、範囲が広かったり、話がまとまりにくく、使い辛さがでてきたので、もうひとつ小さなコミュニティの単位である名単位で活動することになったそうです。この補助金の利用率は現在11名(字)中7名が活用して集落活動を行っているとのことです。話し合いをして活動テーマを見出しながら、字のバス停の改修を住民自ら行ったり、河川の木を伐採し景観を保ったりなど活動しているとのことでした。

―現状・今後

人口減少、後継者不足が深刻だそうです。危機感はあるが若者の移住者がまだまだ少ない状態。いろどり事業や0ウェイストを中心としたビジネスに加わってもらうこと、もしくは起業してもらうことで、上勝町に定住してもらえるように政策としてもすすめていくそうです。
高齢者が増え、移動や医療福祉の問題が深刻化しているそうです。ITやドローンをうまく活用し先進的なチャレンジをしていきたいと思っているとのことでした。
   

㈱いろどり様で伺ったお話

↑㈱いろどり 葉っぱビジネスであるいろどり事業をすすめている会社。農家さんへの情報提供やシステムづくり、視察やインターンの受入を行っている。

 
 彩(いろどり)とは、もみじや南天、梅や桜の花など料理のつま物として商品化したものです。これらの葉っぱを収穫し出荷することは、高齢者も軽量であり、きれいであることから負担が少なく、楽しんでできる農業として上勝町で生まれ発展していきました。今や、年間2000人~3000人の視察もあり、日本中、世界中からこの事業について知るために、訪れているとのことです。
昭和61年に4軒の生産者でスタートしましたが、今は約180軒の登録農家さんがいます。もともと、みかんなど柑橘類の栽培が盛んでしたが、昭和56年の-12℃の大寒波で枯れてしまい当時の農協職員だった横石氏がそれに代わる産業になり得るとはじめたのが葉っぱビジネスでした。最初は赤字でしたが、今や約年商2億6千万円の産業になっています。つまものでは全国で約80%のシェアを誇っています。徳島から九州の貿易会社を経由して海外にも輸出(ヨーロッパ)されています。

海外に輸出されているマイクロ葉わさび

 現在のいろどり農家さんは女性が多く平均70歳。葉っぱは軽くて手先の仕事が多く女性向きだそうで、少量ですが多品種の栽培を行っているとのことです。
㈱いろどりさんが一番気を使っているのは、市場の動向などを農家さんへITを駆使しリアルタイムに送っていて情報を毎日発信していること。またそれを農家さんが毎日チェックしていること。

高齢の農家さんですが、毎日パソコンに送られてくる情報をチェックして明日何を収穫するなど、何に出荷の狙いを定めるか考えています。
180件の登録農家さんのうちパソコン使用は約120 タブレットは約60件程度だそうです。農協さんが全国からの注文を整理し、農家さんのアクセスするページにアップ。それを農家さん自身が各端末でクリックし注文をとり、出荷、流通の管理をする、しっかりしたITシステムを構築しています。

毎日送られてくる情報には、売上げだけでなく売上げ順位も記載されていて、それが農家さんのモチベーションにつながっている。それぞれの農家さんが経営者意識を持って取り組める工夫がされていました。

しかし、農家さんの高齢化により、収穫した商品の出荷のための移動が今後最大の課題になるそうです。それを解決するためにドローンの活用を検討し、実験しています。
いろどり農業が成功したポイントは、高齢者がモチベーション高く、楽しく作業できる工夫をしていること。地域にあるものを生かすこと。競合まではなかなかでてこないこと。しっかりとしたIT、システムの導入、その投資をする。売り方の工夫などにありました。

いろどり農家さんとJA上勝支所で伺ったお話

敬翁桜の出荷準備をする農家さん
聞いてみました!

Q いろどり農業をやっていて楽しいですか?

A とても楽しい。死ぬまでやりたいと思っている。いろどりは、葉っぱや桜の枝など軽くて、きれいだしおばあちゃんでも作業ができる。きれいに揃えてパックし出荷するには手間がかかるが、楽しい。これをやっているおかげでたくさん訪れてくれる方も増えたので、その出逢いも嬉しい。

Q 工夫していることはなんですか?

A 注文の数が毎日インターネットで送られてくるので、それをいち早くクリックして注文をとるために、クリックの最短ルートをパソコンの画面に印をしたりしている。また、規格に合わせるため、よりよい枝葉をつくるために、情報を収集したり、農家同士でアドバイスして栽培の工夫をしている。

Q 今、大変なことはなんですか?

A 木の手入れなどが大変になってきた。でもインターンで大学生や若い方が手伝ってくれることもあるので助かる。また、規格が厳しくなってきた。サイズをあわせたり、芽を数えたりするのが大変。

JA上勝支所 集荷場
 


 その後各農家さんがJA上勝支所の集荷場に商品を持ち込みバーコードを通します。12時なるとトラックが来て、1台は空港へ関東や九州経由の輸出用、1台は陸路で関西を中心とした市場へ流通していくそうです。いろどり事業は農協さん、㈱いろどりさん、農家さん3方が構築されたITシステムを活用し、協力しながら行っていました。

現地で感じたこと
沖永良部島(和泊町)でも活かせることについて

・危機感の違い!和泊町(沖永良部島)も5年後、10年後必ず直面していく問題。本当に次世代のために美しく豊かな島を残していけるのか?を考えるきっかけに。

 上勝町で活動されている方々から感じたのは、「つい先日まではまだ2000人いた人口がもう400人も減っている。このままなにもしなければ、町として存続できない。また財政的にもかなり厳しい。」という危機感を持っていたことです。ここまでの危機感は正直なところ、和泊町にはないなと感じました。
 もともと、寒波で主要産業だった果樹栽培に打撃を受け、ゴミ焼却も財政的に運営が厳しくなり、一旦ギリギリの状態になって生み出されてきたアイデアが上勝町の持続可能な取組みへのきっかけになったようですが、和泊町に置き換えて考えたときに、そうなってからでは遅いと思いました。上勝町が抱える問題はいずれどの地方でも取り組んでいかなければならない問題であり、ましてやエネルギーやゴミの処理の一部を島外にコストをかけて行っている離島は本来解決していくべき優先度の高い問題ではないかと感じました。

・住民のモチベーションをあげる小さな工夫の積み重ね

 ゴミの分別に関してもいろどり事業に関しても、自分にとってどれだけの利益や無駄の削減ができたのか細かいところで見える化が図られていました。また少しでも楽しく、ゲーム感覚でできるような工夫がされています。人間、面倒なことをただボランティアでやり続けるというのは、どんなに高い志があっても難しいことです。ましてや町全体で取り組んでいくためには、このような工夫が非常に大切だと感じました。

・持続可能な町づくりに惚れ込み移住や起業する方が少しずつ増えている。

 町のリーダーや各団体のリーダーが次世代のために美しく誇りのある町を残したい!という強い決意のもと町づくりのグランドデザインを描いていると感じました。また、それに基づく住民の地道な取り組みがあるのだと思いました。明確な意思と持続可能な町づくりへの努力がメディアや活動から広がることによって、その地域で住みたいというIターンやUターン者が増えることに繋がっているのではないかと感じました。またそれが日本、世界中の方が上勝を訪れる要因となっているのだと思います。

・高齢化や人口減少になかなか歯止めはかからない。諦めるのではなく、IT技術などを最大限活用して高齢者も若者も生きがいを持って生活できる社会や産業を育てる必要がある。

 上勝町のITの使い方、そこへの投資には目を見張るものがありました。山間地域で移動が大変な立地条件もその背景にあると思いますが、過疎化を理由に諦めず、新たなテクノロジーを導入、チャレンジしている姿勢は見習うべきだと感じました。また、すでに縮小する国内マーケットから海外のマーケットへも目を向け準備をしていました。


 今回現地に行き、様々な方とお話させていただいたことで、本当に勉強になりました。今後のあざ・まち元気活動、任期終了後は、島で持続可能なビジネスモデルを構築していきたいと思っていることから、得たことを生かし、かたちにしていきたいと思います。